< 施主の立場での住宅設計 >
収納の多さは住みやすさに比例する
収納は多いくらいあっても、実際の生活
を送る上で困ることはないでしょう
家を建てる際には、リビングや居室、トイレなどの普段から「区切られた空間」として意識しているところについて、特別に注力して考えてしまいがちです。しかし良い家づくりには、「収納」の広さや配置もとても重要な要素となってきます。
収納の広さや場所を考えるのは、設計の段階では非常に難しく、特に普段家事に接していなかったりする方にとってはどうしても後回しにしてしまいがちなものです。しかし、この収納について、きっちりと具体的に決めるために正面から向き合うことが良い家づくりにとってもとても重要なポイントなのです。
適切な場所、適度な収納量は設計段階で決める
1.収納は多めに作り、スッキリとした生活を
まず収納の量や配置を考える上で必要な要素を順番に整理してみましょう。最初に現在持っている「モノ」です。つまり家を建設した後に持ち込むべきモノのことです。現在の持ち物は引っ越しのタイミングである程度整頓した結果持ち込むことになると思います。しかし引っ越し直後、全てのモノが「適切な場所」「配置すべき場所」へと配置できる訳ではなく、徐々に整頓しながらモノの配置を決めていくことになるでしょう。その際、収納が少ないと最悪モノが溢れ、出しっぱなしという事態にも陥りかねません。つまりモノの出し入れも考えた場合、それなりの収納スペースが必要となってくるということです。
2点目に生活する上で増える「モノ」についてです。住宅は建築後、暮らす期間は様々ですが一般的には終身に渡り住まうとしておよそ30年。その間に増える「モノ」の量は相当に多いはずです。モノを増やさないためには「捨てる技術」も必要となってきますが、ここでは割愛します。30年間でどれくらいのモノが増えるのか、一度想定してみた上で収納が十分かどうかを検討してみてください。
2点目に生活する上で増える「モノ」についてです。住宅は建築後、暮らす期間は様々ですが一般的には終身に渡り住まうとしておよそ30年。その間に増える「モノ」の量は相当に多いはずです。モノを増やさないためには「捨てる技術」も必要となってきますが、ここでは割愛します。30年間でどれくらいのモノが増えるのか、一度想定してみた上で収納が十分かどうかを検討してみてください。
大きめの収納庫があると、家の中がとても
スッキリと片付きます
又、収納は広さや量だけでなく、「適切な場所」に存在することも非常に重要です。いくら収納やクローゼットの広さを確保しても使いにくい場所にあっては本末転倒、意味がありません。具体的にはみんなが集まるリビングにはすぐにモノが取り出せるよう「部屋の中」の収納(造作家具)を確保しつつ、隣接した場所に大きめの収納庫(部屋)を配置する、など収納を配置する「適切な場所」についても検討する必要があるでしょう。
2.外で使用するものを想定した収納も必要
収納は、屋内のモノのみならず、主にアウトドア用品やスポーツ用品などの屋外で使用するモノについても予め保管・収納の場所や方法を決定しておくことをお勧めします。屋外で使用するモノは意外と忘れがちになりやすく、設計の段階で考慮が漏れると結果的にうまく片付けが出来ない状況に陥りやすいのです。もし、屋外用の収納を予め準備していない場合について想像してみると、庭がある程度の広さがあり、後から物置に代わるような収納を準備できる場合はまだしも、物置をおく事も想定出来ないような場合には、玄関の内外にアウトドア用品やスポーツ用品が散乱する状況が生まれやすくなります。
屋外用品の収納は出来るだけ外から出し入れ可能な収納を予め家・建物に備え付ける形で準備しておくことで、外出から帰ったり、出かけたりする際に即座に出し入れが可能となり非常に便利です。その際には、防犯上の考慮からも施錠が出来る状況にしておくと尚、安心できるでしょう。アウトドア用品の収納が十分で整頓しやすく、出し入れが簡単に出来る状況を作れば、外で遊んだり出かけたりすることもより楽しくなることでしょう。
家を建てることによって、家の中で快適に過ごすことが出来るだけでなく、「外で楽しく快適に過ごすことも出来るようになる」ということを覚えておいてください。
3.ゴミの一時置場を予め想定しておく
ゴミの保持スペースは導線を考慮した適切な
場所を決定しておくこと
これも屋外用品の収納と同じくらい忘れがちである、「ごみ」の一時置き場の確保です。ゴミは生活の中で相当量の排出が定期的にされます。ゴミの種類にも数種類あるため、いずれのゴミについても想定しておく必要があります。具体的には「生ゴミ・家庭用の可燃ごみ」「不燃物・空き缶・ペットボトル・瓶」「粗大ゴミ」「古新聞・段ボール」などです。これらのゴミは、ゴミが収集される期間やタイミングも異なるため、なるべく具体的な回収タイミングと一時保管場所を想定しておき、設計の段階で「ごみに埋もれない状況」を確保しておいてください。
特に生ごみについては「におい」も気になるため、においについても伝わり難い対策を予めとっておくことで、快適な生活を一段と助けることにも繋がります。「見えないけれど便利な場所」にゴミを置くことでこれから暮らしていく長い年月の間、ゴミと上手に付き合っていけることでしょう。
又、ごみの一時保管場所は、家庭内のごみの収集 ~ ごみ捨て場までの運搬を考慮した「ゴミ捨ての導線」も重要なポイント。面倒なゴミ捨てをなるべく楽に簡単に行えるような設計となるよう、確認しておいてください。
【 今回のポイント! 】
- 収納庫はリビングの中、隣にも配置する
- 収納は多めに造っておいても、実際住めばちょうど良く感じるもの
- 屋外のモノを想定した収納も忘れずに確保しておく
- ゴミの収納も必要。きちんと「見えないけれど便利な場所」に一時保管できるようになっていること
- 収納の数が多いと整理は煩雑になりやすい。スッキリとした片付けには工夫も必要!